熱烈歓迎!ツリーガード(2)
冒険の書を装備しました。
ここから私としては何としても早く、僅かでもいいから攻撃力を上げたい。なので日常的にエンカウントしやすい最弱の巨人――ツリーガードの殺害を計画しています。
といっても特別なことはしません。
今日はたくさんの木を切り倒して、炉にくべる丸太をたくさん集める予定です。木を切っているうちに木々が怒って、ツリーガードを生み出してくれることでしょう。
うむ、秋のうちに植えておいた杉林が育っていますね。
凍えないように火の入ったポータブルグリルを足下に置いて、それでは木こりの真似事です。とにかく端からがんがんと斧で木を切り倒していけば……切り倒していこうとしたら、最初の1本目を倒した瞬間に、隣の木がぬおぉっと立ち上がりました。
「がおー」
「きゃーん、せっかちなんだからっ」
おおっとこれはこれは、ずいぶんお早いご登場。
歩く巨大なクリスマスツリーこと、ツリーガードです。普段ならその日の仕事始めにいきなり出鼻を挫かれて、げんなりするところでしょうが。今日だけは違いますよっ。
いゃっふぅー、待ってました!热烈欢迎樹人守衛!!
中国ではこのように言うらしいですね。どうでもいいか?
好都合なことに、成長途中の若い木が化けたため、ツリーガードは完全体ではなく、通常よりもかなり小型です。体力も攻撃力も少なめだってことです。
なんたる幸運。お前を殺して私の冒険の第1歩としてやる!
……なんて、後から思い返せばいかにもフラグっぽい台詞を叫びながら、私は斧を槍に持ち替えてツリーガードに駆け寄ったのでした。
叩く叩く叩く叩く。
あーだめだ、しょぼいダメージ。
自分の非力が嫌になります。
そしてこちらが6回ほど攻撃する合間にツリーガードは1回、腕を振り上げてからの凄まじい叩きつけ!はん、遅すぎてハエが止まりそうですよっと。
私はツリーガードに合わせて円形の盾――バックラーを振るいます。
バゴンッとバックラーはダメージを全反射して、ツリーガードは自分自身の強烈な攻撃を食らい……って、こっちのダメージもぱっとしないな?
ああ、このツリーガードは小さいから、攻撃力も小さいのですね……
(続く)