やってくれましたね!
一目見て直ぐに分かります。
これはボスの襲撃や自然災害ではありません、グリーファ(嫌がらせ屋)の仕業です。彼らはむしろ(事故じゃないぞ、この俺がやったんだぞ)と痕跡を見せびらかすようなところがありますから、見間違えがないのです……キャンプ場を作り上げてきたプレイヤーたちが「なんて酷いことを……」と嘆くのを想像して楽しむ人たちですからね。
だとしても。
私はこの世界の管理者なんですよ。慌てず騒がずロールバック――彼がキャンプ場を台無しにした前日まで時間を戻します。
慌てず騒がず、時間を戻して戻して……戻せる限界まで時間を巻き戻したのですが。あれ?なぜかキャンプ場は廃墟のまま、元に戻りません。え、え、えぇぇぇぇっなんで?どういうこと……あ、そういうことか!
なんと彼はキャンプ場を焼いた後、私が時間を巻き戻せなくなるまで、何日も何日も、何日もこの廃墟で過ごしていたらしいのです。
それはそれはなんというか……このくそ暑いのにご苦労様?
思わず彼に頭が下がりました。こんなに熱心で周到な嫌がらせ屋なんて、初めて見ました。彼がその熱心さを別の方向に活かしたなら、彼はきっと他のプレイヤーたちから慕われるベテランプレイヤーになれただろうに。(仮定法過去を使って英訳しなさい。)
いやいやしてやられました。完敗です。
こうなるとキャンプ場はもう、正攻法で再生するしかありません。一度更地にして、最初の最初からキャンプ場を作るってことです。
ハンマーで残骸を壊し、使える資材を拾いながら、ぶつぶつと一人で考えをまめます。うーむこうすればいいのかな?手の内は明かせませんが、今では既に対処し終えています。確かに今回は彼の勝ちですが、次はありません。