豚さんと木を切っていたら
今朝、倉庫を点検したところ、丸太が少なくなっていました。
現在このキャンプ場では、火事を防ぐために3台の消火装置を不休で動かしています。これが当初の計算よりも、たくさんの燃料を消費しているようです。
燃料がなくなる前に、木を切って丸太を補充することにしましょう。
というわけで今、私はたくさんの木を前にして、少し考え込んでいるのでした――この本数、私一人では今日中に全部倒せそうにありませんよ。
こんなときは?豚さんたちに手伝ってもらうのがセオリーです。
豚さんに食べ物をあげることで、半日ほど豚さんを雇用することができます。肉肉した食べ物なら何でもいいので、あえて冷凍庫の中で痛みかけていた怪物肉を引っ張り出して3匹に配りました。何の問題もありません、美味しそうにぺろっと食べてくれましたよ。流石、頑丈な胃袋ですね。
さあ、契約成立です。ついてきなさいこの豚ども。
豚さんたちの言葉は片言です。
「オマエ トモダチ」「トモダチ スキ」などなど。コミュニケーションには心許ないのですが、木の側まで連れて来て、手に持った斧で木を切って見せたら、さすがに意図を察してくれます。
各自に木を倒し始めました――素手で。
殴る殴る殴る殴る、ぼこぼこぼこぼこ……まあ、木を倒してくれるなら手段は問いません。
それでは私は斧をショベルに持ち替えて、切り株を片付けることに専念しましょう。ここは更地にして、また後で苗木を植えるつもりです。
ばったばったと木を殴り倒していく豚さんたち。
私は手を動かしながらも、油断なく周囲を警戒しています。
仕事がはかどる――というのはこの場合、良くない兆候です。こんな勢いで木を倒していると、そろそろ…
…ああやっぱり!
いきなり一本の木がぬおおっと高く伸び上がりました。
それはまるで静かに眠っていた巨人が目を覚まし、立ち上がったかのよう……いや本当に立ち上がったのです。
今や周りの木々より頭二つほど大きくなった”それ”は、二股に分かれた太い幹を二本の足にして、ゆっさり、ゆっさりとこちらに歩み寄ってきます。
この世界で最も古い支配者の一柱――ツリーガードが出現したのです。
続く。